2026.05.23Business

大谷翔平が指摘した「データ格差」スポーツ事例に学ぶ 6時間でできる中小企業のAI活用術大谷翔平のWBC後発言、馬瓜エブリン「テックアスリート」宣言、森保ジャパンの分析班強化──直近3本のニュースから読み解く、半日(約6時間)で着手できるAI活用の具体ステップ

スポーツ業界は、いまや世界で最もデータドリブンな業界のひとつです。本稿はその最先端ニュース3本から「データの日常使い」の本質を読み解き、中小企業のマーケティングが今すぐ一歩を踏み出すための具体ステップを提示します。

「スポーツ=根性と努力の世界」というイメージは、いまも根強く残っています。

ところが、ここ数週間で目に止まった3本のニュースを並べてみると、その認識は一変します。今日はその3本──大谷翔平選手の発言、森保ジャパンの分析班、現役バスケ選手のAI活用──を起点に、中小企業のマーケティングがいま向き合っている転換点を読み解きます。

1. 大谷翔平の「常日頃から使ってなさそう」が突いた、データ活用のギャップ

MLBは2015年に全30球場でデータ計測(Statcast)を標準化、2020年にはホークアイへ全面移行しました。NPBが全12球場にホークアイを揃えたのは2024年です。技術世代を揃えると約4年、計測の標準化開始時点で比較すると約9年の差があります。

2026年3月19日、オープン戦(ドジャース対ジャイアンツ)。4回1/3を投げ、1安打無失点・4奪三振・最速99.9マイル(約160.7キロ)という圧巻の内容で登板した大谷翔平投手は、試合後の取材でWBC2026についてこう語っています。

「データの方々に関しては頑張ってもらった。僕らは(メジャー)各球団のデータもありますし、それを集めて提示すればいいだけですけど、なかなか台湾の選手、チェコの選手、オーストラリアの選手全員の分があるかといわれたらそういうわけではない中で、少ない資料をうまくまとめてはくれていたなというのはもちろん思うのでそこは感謝しています」

「必ずしもすごく遅れていたかと言ったらそうではないですけど、現場として(NPBの)各球団が、常日頃から使ってはなさそうだなという雰囲気があった。そのギャップはありましたけど、そこは追いついてくるんじゃないかなと思います」

(出典:サンスポ「大谷翔平、データ全盛の球界で〝時代遅れ〟を指摘」2026年3月19日 / 投球成績の補強は 日本経済新聞「MLB:大谷翔平がオープン戦初登板、5回途中無失点」 でも確認可能)

侍ジャパンの分析スタッフへの敬意を示しながら、NPB現場のデータ活用に感じた違和感を率直に語ったコメントです。実際、MLBとNPBのデータ環境の差は、年表で並べると一目瞭然です。

MLBNPB
2014年TrackMan+光学カメラのStatcastを3球場で試験導入
2015年Statcastを全30球場に展開
2020年ホークアイへ全面移行
2023年カメラを100fps→300fpsへ高速化、バット軌道追跡を2023年開幕日から追加
2024年全12球場へホークアイ展開完了
2025年シーズン(Baseball Savantで全データ無料公開済)NPBエンタープライズとソニーの連携でデータ可視化を開始、ファン向け公開がアプリで始まる

(出典:MLB Technology Blog「Introducing Statcast 2020: Hawk-Eye and Google Cloud」ASCII.jp「ホークアイデータの裏側」Hawk-Eye Innovations公式「One data foundation, new fan experiences」

MLBでは、計測されたデータが Baseball Savant で誰でも無料で確認でき、選手の打球速度・スピン量・スプリント速度などが、FA交渉や年俸査定にそのまま反映されます。年俸を「数字で説明できる」のが当たり前の世界です。

NPBの分析体制も進化はしています。各球団でアナリストの採用が進み、データ部門を持つ球団も増えてきています。ただ、データ担当が他業務との兼任で運営されているケースもまだ多く、専任チームが手厚く整っているかは球団ごとに差があるのが現状です。

大谷選手の「常日頃から使ってはなさそうだな」という言葉は、この「現場での日常使い」の深度差を肌で感じた表現として受け取れます。設備は揃った。あとは「日常使い」の深度を上げるフェーズです。

2. 森保ジャパンの分析班に「東大・筑波大の学生」が加わっていた

サッカー日本代表のスタッフ構成に大学生が含まれている──これはデータ分析が「専門部署の仕事」から「組織全体の知性」へ広がっていることの象徴です。

2026年5月15日、日本サッカー協会はW杯北中米大会に臨む代表26名を発表しました。MF守田英正選手(31歳)がボランチから選外となったことで、波紋が広がりました。森保一監督はその判断について「鎌田、佐野、田中は所属チームでしっかりプレーできており計算が立つ」と発言。

注目すべきは、この選考判断にデータが効いていたとされる点です。日刊スポーツの報道は、こう伝えています。

「縦への推進力は下がっているとも言われる」など、定量的指標が選考判断の物差しとされた。前回大会ではFW大迫、MF原口の選外でも同様にデータが活用された。従来の分析班に加え、東京大学および筑波大学の学生も加わり、データ戦略の強化が進んでいる。

(出典:日刊スポーツ「【日本代表】守田英正なぜ選外か?森保監督が大事にする『客観性』データも指標に」2026年5月15日

代表チームのスタッフ表に大学生──と聞くと不思議に感じますが、世界に目を向けると、これは「ようやく追いついてきた」風景です。ドイツ代表は2014年のW杯優勝に向けて、2013年からSAPと提携し「Match Insights」というデータ分析プラットフォームを構築しました。その結果、ボール保持時間を2010年大会の平均3.4秒から2014年大会の1.1秒へと約68%短縮したと報告されています(出典:Computer Weekly「SAP helps Germany lift the World Cup」)。

イングランドのプレミアリーグでは、クラブの約75%が2023年時点でフルタイムのデータアナリストを少なくとも1名雇用している状況です(出典:Sportblog Online「Premier League Data Revolution」)。HudlとStatsBombが統合した分析プラットフォームは、1試合あたり3,400以上のイベントデータと、190以上の大会の映像データベースを束ねます(出典:Hudl公式「Hudl StatsBomb」)。

「縦への推進力」とは、攻撃時のスプリント距離・スプリント回数・パス前進率といった定量指標で測られる、選手の前方への運動量を指します。海外サッカーの分析現場では、xG(期待ゴール)やPPDA(敵陣プレッシング指標)などの高度な指標を大学レベルで計算するのが常識化しています。東大・筑波大の学生が代表チームの分析班に加わったという報道は、日本もその文脈に追いつき始めた、と読める動きです。

サッカーの世界でも、「経験と勘」だけでメンバーを選ぶ時代は終わりつつあります。日本もそこへ向けて動き始めている──「東大・筑波大の学生が分析班に」というニュースは、その小さな証拠です。

3. 馬瓜エブリン選手の「テックアスリート」宣言

現役のWJBL選手が、自分の試合映像をAIに食わせて、半日でセットアップし、選手を自動色分けし、コートマップに落とし込む。これが2026年5月のリアルです。

そして今回、個人的に最も衝撃を受けたのが、馬瓜エブリン選手のX投稿でした。馬瓜選手は1995年生まれ、180cmのパワーフォワード。東京五輪2020で銀メダルを獲得した日本代表の中心選手で、2025-26シーズンからENEOSサンフラワーズに加入しています(出典:WJBL公式選手ページ)。

2026年5月20日、馬瓜選手は自身のXで「現役バスケ選手がエンジニアじゃなくても、AIで試合映像を自動解析できた話」というタイトルの長文投稿を公開しました。要点を引用します。

「最近AIに自分の試合映像を見せている。試合映像を食わせて、選手を自動で色分けさせたり、コートのマップに落とし込んだりして遊んでます。笑」

「AIとエンジニアじゃない自分1人で、半日あればセットアップして動かせたので少し共有してみようと思いました!」

(出典:Evelyn Mawuli 馬瓜エブリン @evelyn_mawuli「現役バスケ選手がエンジニアじゃなくても、AIで試合映像を自動解析できた話」

使用したのは、Roboflow(米AI企業の画像認識プラットフォーム)のバスケットボール解析ツールを軸に、選手検出のRF-DETR、選手追跡のMeta SAM2、ユニフォーム色から自動でチーム分けする画像認識モデルSigLIPなど。これらをクラウド上のGPU環境(Google Colab Pro+ + NVIDIA L4)で動かしたとのことです。馬瓜選手が「赤はどこ」「黄色はENEOS」と教えなくても、AIが勝手にその試合のユニフォーム色を学習してチーム分けしてくれる、と書かれています。

※ ここに出てくる専門用語は、覚える必要はありません。「最先端の映像解析が、ブラウザやクラウドだけで動く時代になった」ということが伝われば十分です。技術的な背景が気になる方のために、以下に注釈を添えます。

※ 馬瓜選手が使ったAIツールの注釈(参考)

  • Roboflow(ロボフロー):2019年創業の米AI企業が提供する、画像認識AIの開発プラットフォーム。画像へのラベル付け(アノテーション)からモデル学習・デプロイまでをブラウザ上のノーコード操作で完結できるのが特徴。世界の開発者100万人以上が利用しています。
  • RF-DETR:Roboflowが公開する高精度の物体検出モデル。Transformerと呼ばれるAI技術をベースにしており、動きの速い選手のような対象でも、フレームごとに正確に位置を特定できます。
  • Meta SAM2(Segment Anything Model 2):Meta社のAI研究部門が2024年7月に公開した、動画オブジェクト追跡モデル。動画の任意のフレームで対象を1回指定すると、その後の全フレームで自動的に追い続けてくれる仕組みで、選手の移動軌跡を取り出すのに使われます。
  • SigLIP(シグリップ):DeepMindが開発した視覚言語モデル。画像とテキストを同じ意味空間で関連付ける技術で、「赤いユニフォームはENEOS」と事前に教えなくても、画像から自動でユニフォーム色=チームを判別できます。
  • Google Colab Pro+ / NVIDIA L4 GPU:クラウド上で借りられるPython実行環境(Colab Pro+)と、動画解析向けの高性能GPU(NVIDIA L4)の組み合わせ。個人でも月額数千円から、かつては研究機関でしか手の届かなかった計算資源を時間借りできるようになっています。

Roboflowはアイオワ州デモインに本社を構える2019年創業のAI企業で、世界の開発者100万人以上が利用し、Fortune 100企業の半数以上が顧客に名を連ねます。2024年11月にはGV(旧Google Ventures)主導でシリーズB $4,000万を調達したばかりです(出典:SiliconANGLE「Roboflow raises $40M Series B」2024年11月19日)。

「テックアスリート」とは、競技を続けながら自らAI実装やデータ解析に取り組むアスリートを指す造語で、今回の馬瓜選手の投稿で使われた言葉です。

馬瓜選手の投稿で最も引き込まれたのは、技術スタックの説明より、その後に書かれた一節でした。

「私はエンジニアじゃないし、たぶん本物の開発者から見たらめっちゃ拙いことをやってると思います。『ブラウザでポチポチやってるだけじゃん』『そんな技術は昔からあるよ』ってのも、知っています。ただ少し前の私にとってここまで実装するにはなかなかハードルが高いし、時間も必要だった」

「『多少わからなくても、技術に触る事』に価値があるということです」

「『アスリートこそAIを触った方が良いのでは?』」

そして自身の活動を「テックアスリート」と命名し、AI時代のアスリートに必要な5つの姿勢として、以下を挙げています。

  • まずはAIを使って何か実験しようと思えること
  • 動かなかった時に、どのように解決していくかを考えること
  • 新しい技術と自分の好きな領域がどのように繋がるかを妄想すること
  • 全くかけ離れた好きな領域をどれだけ増やせるか
  • 全く知らない領域の知識・人脈に飛び込めるか

馬瓜選手は、現役選手として競技を続けながら、スポーツ特化のライブ配信プラットフォーム「Fantrance(ファントランス)」を運営するBack Dooor株式会社(2023年1月設立、名古屋市昭和区)の代表取締役も務めています(出典:PRTimes「Fantrance iOSアプリリリース」)。

スポーツ業界で「データ」と言うと、これまでは球団・リーグ・代表チームといった組織側の話でした。馬瓜選手の事例が示しているのは、その流れが選手個人の側にまで降りてきているという事実です。しかも、その入り口は「ブラウザでポチポチ」で済むレベルにまで民主化されています。

4. 中小企業のマーケティングは、スポーツ業界が越えた壁の入り口に立っている

スポーツ業界が10年かけて越えてきたデータドリブン化の壁。中小企業のデジタルマーケティングは、いまその入り口に立った段階にあります。デジタルマーケ実施率はわずか約6%です。

スポーツ業界がなぜこれほどデータを命がけで追うのかを考えてみたいと思います。理由はシンプルです。「限られた予算と人員の中で、勘ではなく再現性のある成果を出すため」──これに尽きます。MLBは選手の年俸査定の根拠としてStatcastを使い、ドイツ代表はW杯優勝のためにボール保持時間を秒単位で削る。すべて「投資対効果(ROI)の最大化」が動機です。中小企業のマーケティングも、これと完全に同じ構造です。限られた広告予算、限られた人員、限られた時間。その中で、勘に頼らず再現性のある成果を出す。

スポーツの現場でこれだけのことが起きている2026年に、中小企業のマーケティングはどこにいるのか。直近の調査を並べてみます。

ここで重要なのは、スポーツ業界と中小企業マーケでは、同じ「データドリブン化」と言っても、課題のフェーズが違うということです。スポーツ業界が直面しているのは「設備(ホークアイ・Statcast等)はすでに揃ったが、現場での日常使いの深度を上げる段階」──これが大谷選手の指摘の本質です。一方、中小企業のマーケティングの大半は、その手前の「そもそもデータを取って戦略に反映する仕組み自体を持っていない」という段階にあります。デジタルマーケ実施率6.1%という数字は、9割超の中小企業がスポーツ業界で言えば「ホークアイすら入っていない時代」にいることを示しています。

絶望的な数字に見えるかもしれません。が、私はむしろ希望のあるニュースとして受け止めています。なぜなら、スポーツ業界が10年かけて越えた壁を、いまの中小企業は数か月で越えられる時代に入っているからです。

理由は2つあります。

ひとつは、馬瓜選手の事例が示すように、「専門家がいなくても、ブラウザでポチポチ動かせる」AI環境がすでに整っていること。Roboflow・Meta SAM2・Google SigLIPのような最先端ツールが、現役のバスケ選手の半日のセットアップで動く時代です。マーケティングの実務で使う道具は、競技用AIよりはるかにシンプルで、業務に直結しています。

最初の半日(約6時間)で着手できる具体的なステップを3つ挙げます。

  • データを「見える化」する半日:Google アナリティクスやサーチコンソールのデータを Looker Studio で1枚のダッシュボードにまとめる。これだけで「先週どのページがどれだけ読まれたか」が経営層・現場に同じ画面で共有できるようになります。コストはゼロ、所要は半日です。大谷選手がBaseball Savantで自分の打球速度を確認するのと同じ構造を、自社サイトでも数時間で作れます。
  • 問い合わせ対応をAIで下書きする半日:問い合わせメールへの返信文・FAQ回答・営業フォローアップを、生成AIに下書きさせる運用を1つだけ作る。チーム全員に展開する前に、まずは1業務×1か月の試行で十分です。AIを「新しい同僚」として受け入れる感覚で始めてみてください。
  • 広告クリエイティブをAIで増やす半日:既存のバナー・LPコピーを生成AIに10案展開させ、A/Bテストの母数を増やす。「クリエイティブが枯れた」と感じている事業部こそ、半日で打てる手です。馬瓜選手がAIにユニフォームの色を自動学習させたのと同じく、AIに既存パターンから新案を生成させます。

いずれも、馬瓜選手の言葉を借りれば「ブラウザでポチポチ」のレベルで着手できます。重要なのは、最初から完璧な設計を目指すのではなく、まずチームの中で1人が触り始めることです。

もうひとつの理由は、道具でも技術でもなく、「姿勢」の問題です。馬瓜選手の言葉が、それを端的に示しています。

「『多少わからなくても、技術に触る事』に価値があるということです」

これは、中小企業の経営者・マーケ担当者の方々に対しても、そのまま当てはまる言葉です。「データ分析の専門部署がない」「マーケ担当が兼任で手一杯」「AI? うちには関係ない」──こうしたお声を、私もクライアントワークの中で本当によく伺います。一方で、最初の一歩を踏み出した会社が、3か月後には「会議の体感が変わった」「広告の打ち方が変わった」とおっしゃる例も、確実に増えてきています。

スポーツ業界が示している転換点は、特定の業界だけの特別なニュースではありません。「データを取り始めるハードルは、かつてないほど下がっている」「専門家がいないから、という理由で立ち止まる必要がなくなってきた」──すべての業界が、この転換点に同時に立っています。

よくいただくご質問

Q1. 「スポーツ業界でデータ活用が進んでいる」とよく聞きますが、具体的にどのくらい進んでいるのですか?

MLBは2015年に全30球場でデータ計測の標準化を完了しており、選手のFA交渉や年俸査定の根拠としてデータが日常的に使われています。NPBも2024年に全12球場でホークアイの展開を完了し、2025年シーズンからファン向けにもデータが公開され始めました。サッカーのプレミアリーグでは、クラブの約75%がフルタイムのデータアナリストを雇用していると報じられています。

Q2. 中小企業がデータ活用を始める際、最初の一歩はどこから手をつければよいでしょうか?

最初の一歩としておすすめしているのは、「すでに手元にあるデータを整理して可視化する」ことです。GA4のサイト訪問データ、SNSのインプレッションとエンゲージメント、月次の問い合わせ件数──新しいツールを導入する前に、いまある数字をひとつのダッシュボードに並べるだけで、会議の質が変わります。専門知識は最初は要りません。馬瓜選手の言葉を借りれば、「多少わからなくても、技術に触れること」が出発点です。「どのツールから触ればいいか分からない」「うちのデータでどう始められるか相談したい」という段階からでも、お気軽にMarumakeへご相談ください。

Q3. AIツールを使うのに、エンジニアやデータサイエンティストは必要ですか?

業務の中核に組み込む段階では専門人材が役立ちますが、最初の検証段階では必須ではありません。馬瓜エブリン選手はエンジニアではない現役バスケ選手として、Roboflowなどのノーコード/ローコードのAIプラットフォームを使い、半日で試合映像の自動解析を立ち上げています。中小企業のマーケで使うツールは、これよりはるかに業務向けに整備されているものが多く、まずは現場担当者が触ってみるところから始められます。

Q4. 馬瓜エブリン選手の例以外にも、スポーツ業界で「個人レベルでAI活用」が進んでいる事例はありますか?

直近2026年に目に止まったものだけでも、3つご紹介します。共通しているのは「もうセンサーや専門設備の話ではない」という点です。

  • ①ゴールキーパーのPK予測AIが89%の精度に:マルチモーダル深層学習モデルが試合映像755本を学習し、キッカーの助走〜キックモーションの段階で、ボールが飛ぶ方向を89%の精度で予測できた、というプレプリント論文が公開されています。試合本番でGKがその場で参照するというより、相手キッカーの動作パターンを試合前にコーチへ提供する事前分析用途として研究が進んでいます(出典:arXiv 2509.26088(プレプリント論文))。▶ ビジネスに置き換えるなら:商談前の「競合他社の失注パターン予測」や、自社プロダクトの解約予兆検知。
  • ②スマホ1台でテニスのサーブを解析:SwingVisionはスマートフォン1台でサーブ速度・スピン種・着地点を計測できます。プロの現場ではHawk-EyeのSkeleTRACKが2024年のラバーカップで導入され、選手の29骨格ポイントを光学計測する取り組みが進んでいます(出典:Hawk-Eye Innovations「SkeleTRACK」)。▶ ビジネスに置き換えるなら:スマホ1台での「店舗スタッフの接客動作・動線マニュアル化」「営業ロープレ動画の振り返り解析」。
  • ③月30ドルで野球のフォーム解析:SportSensAIなどのサービスは月額30ドルで、ビデオ映像から股関節と肩の分離、肘への応力、腕の軌道を解析できます。従来の専門施設での1回あたりの分析費用(350ドル)と比べると、継続利用ベースでは桁違いに安価で、高校生でも手の届く時代になっています(出典:Scott Alan Turner「Affordable Baseball Biomechanics」)。▶ ビジネスに置き換えるなら:月額数千円のツールで行う「自社LPのユーザー視線・ヒートマップ解析」「広告クリエイティブの自動A/Bテスト」。

スマホ、月数千円のサービス、AIモデル──手の届く道具で、競技現場の判断が変わっていっています。

Q5. Marumakeに相談する場合、どのような状態から相談できますか?

Marumakeは、累計300社超の支援実績を持つマーケティング×AI活用支援企業です。たとえば最近では、あるベンチャー企業様の半日セッションで Google アナリティクス・サーチコンソール・Looker Studio を接続し、それまでバラバラだった指標の可視化と統合を一気に実現しました。「データ活用を始めたいが何から手をつけてよいか分からない」「他社の事例だけ眺めて何年も止まっている」「ツールは入れたが、社内で使いこなせていない」──こうしたお悩みのいずれの段階からでもご相談いただけます。業種・規模を問わずご相談を承っています。

最後に──「テックアスリート」の精神を、御社のマーケに

「スポーツは根性論」というイメージを、データが塗り替えつつあります。大谷選手が突いたMLBとNPBのギャップ、森保ジャパンの分析班に加わる大学生たち、「ブラウザでポチポチ」で試合映像をAI解析する現役WJBL選手──こうした動きに共通するのは、馬瓜選手の一言に集約されています。「多少わからなくても、技術に触れること」。

中小企業のマーケティングも、いま、同じ転換点に立っています。「データ分析は大企業の話」「AIはエンジニアがいる会社の話」──そうした前提が、急速に過去のものになりつつあります。

Marumakeは、マーケティング戦略とAI活用を一気通貫で支援するコンサルティング企業です。地方自治体(長崎県・京都市等)からグローバル企業のスポンサーシップ、街のお菓子屋さんまで、累計300社超の支援実績の中で、「最初の一歩をどう踏み出すか」のお手伝いを最も大切にしてきました。

御社のいまの状況(業種・規模・課題感)を、分かる範囲で結構ですのでお聞かせください。本記事でご紹介したスポーツ業界の事例のように、御社にとっての「最初の半日でできること」を、一緒に設計させてください。

参考文献・出典

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