2026.07.04Business

AI検索時代の中小企業マーケティング1位表示でもクリック58%減、「順位」から「引用される理由」へGoogle検索の「AIによる概要」でクリック率は大きく下がる一方、生成AI経由の米国小売サイト訪問は前年比4,700%増——一次データで「SEOは死んだ」という俗説を検証し、中小企業が今週からできる3つの対応をご紹介します。

本記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。

「最近、検索からの問い合わせが減った気がする」。よくいただくご相談です。しかし、原因はサイトの出来だけではないかもしれません。

いま、お客様の「調べ方」そのものが変わりつつあります。この変化への対応は「LLMO(大規模言語モデル最適化)」と呼ばれ始めていますが、難しい話ではありません。この記事では、実データで変化の中身を確かめたうえで、今週からできる対応を3つに絞ってお伝えします。

1. 「検索して、クリックして読む」が当たり前でなくなりつつあります

2024年8月から、Google検索の結果画面に「AIによる概要」(AI Overviews)が日本でも表示されるようになりました(Google公式発表、2024年8月16日)。

検索すると、ページ一覧の上にAIがまとめた答えが先に出る。あの画面です。2025年9月には、対話しながら深掘りできる「AIモード」の日本語提供も始まりました(Google公式発表、2025年9月9日)。答えがその場で読めるなら、リンクを押さずに済ませる人が増えるのは自然な流れです。

使う側の変化も進んでいます。総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことのある個人は26.7%と、前年調査(9.1%)の約3倍に増えました(2024年度調査)。つまり、「調べる」の入り口が、検索結果の一覧から「AIの答え」へ移り始めています。これが2026年現在の変化です。

2. データで見る影響——「1位に出れば来てもらえる」が崩れ始めています

米国の実測調査では、AIによる概要が表示された検索でリンクをクリックした人は8%と、表示されない検索(15%)のほぼ半分でした(Pew Research Center、2025年3月調査・同年7月公表)。

米国の成人900人の検索行動を1か月間記録した調査で、AIによる概要内の引用リンクがクリックされたのはわずか1%です。

検索順位への影響も数字が出ています。SEO調査会社Ahrefsの分析では、AIによる概要が表示されるキーワードでは、検索1位のページでもクリック率が約58%低いという結果が出ています(2025年12月時点の分析)。

日本でも同じ傾向が観測され始めました。Hakuhodo DY ONEの「AI検索白書2026」では、生成AIの回答だけで検索を終える「ゼロクリックサーチ」の経験者が23.9%にのぼっています(白書は2026年3月公開)。

苦労して検索1位を取っても、AIの答えで用が済めば、サイトには来てもらえない。少なくともAIによる概要が出る検索では、「順位を上げれば流入が増える」という前提が崩れ始めています。

3. 「SEOは死んだ」は本当か——検索は減っていない、行き先が変わっただけです

「SEOは死んだ」という俗説に反して、Google検索の利用回数自体は2024年に20%以上増えています(SparkToro・Datos共同調査、2025年3月公表)。

少なくとも米国のデータでは、Google検索は死ぬどころか増えています。一方で、新しい入り口も急成長しています。Adobe Analyticsの分析によると、生成AIサービス経由で米国の小売サイトを訪れるトラフィックは、2025年7月に前年比4,700%増を記録しました(Adobe、2025年8月公表)。

量だけではありません。2026年3月の米国小売サイトでは、AI経由の訪問は購入につながる率が非AI経由より42%高く、滞在時間も48%長いと報告されています(Adobe、2026年公表)。

減ったのは「検索」ではなく「クリックの配分」です。そこに、生成AI経由という新しい来訪ルートが加わりました。悲観すべき話ではありません。むしろ、「見つけてもらう場所」が増えたと捉えています。

4. Google公式ガイドが示した「やること・やらないこと」

2026年5月、Googleは検索の生成AI機能向けの公式最適化ガイドを公開し、「特別なAI対策は不要、SEOの基本が引き続き有効」と明言しました(Google検索セントラル、2026年5月)。

世間には「LLMO対策」「GEO対策」と銘打った新サービスが増えていますが、公式ガイドの中身は意外なほど地味です。「やらなくていい」と明言されたのは次のようなものです。

  • llms.txt などAI向けの特別なファイルやマークアップ(Google検索は使用しないと明記)
  • AI向けにコンテンツを細切れに分割する書き方
  • ランキング操作を狙った大量のページ生成

逆に「やるべき」とされたのは、独自の視点を持つコンテンツです。つまり「他の誰かの要約ではなく、実体験に基づく一次情報」を指します。加えて、クロール可能な技術基盤や、高品質な画像・動画といった従来のSEOの基本も挙げられています。

注意点として、このガイドはGoogle検索のAI機能についての話で、他の生成AIサービスは別の仕組みで動きます。ただ、「一次情報と分かりやすい構造が引用されやすい」という方向性は大きく変わらない、というのが支援現場での実感です。

5. 中小企業にとっては、むしろ追い風だと考えています

一次情報がAIに引用される時代は、現場の実例を持つ中小企業に有利に働きます。大手メディアの一般論より、現場の具体的な数字のほうが引用の材料になりやすいからです。

Marumakeは、AIと戦略設計で中小企業のマーケティングと業務改善を支援するコンサルティング会社です。私自身、これまで300社を超える企業のマーケティング支援に携わってきました。その現場経験から見ても、この変化は「大手と同じ土俵で順位を競う」ゲームからの解放だと感じています。

理由は単純です。AIが引用しやすいのは「コモディティでない情報」だからです。御社にしかない施工事例、料金の内訳、失敗と改善の記録は、大手には書けない一次情報です。もちろん、クロールできる形で公開され、誰が書いたか分かる状態になっていることが前提です。

生成AIの活用方針を組織として定めている企業は、大企業56%に対し中小企業は34%です(総務省・令和7年版情報通信白書)。AI対応そのものが、中小企業ではまだ横一線に近い状態です。発信側の対応も、競合より先に動いた分だけ差になります。

「使う側」の生成AI活用については生成AI導入で効果が出ない理由で詳しく書きました。本記事はその続編にあたる、「見つけてもらう側」の話です。

6. 今週からできる3つのこと——完璧を目指さず、まず現在地から

AI検索対応の最初の一歩は、生成AIに自社のことを聞いてみることです。費用はかからず、30分程度で現在地の見当がつきます。

優先順位つきで3つ挙げます。

  • 「AIでの見え方チェック」(優先度1):主要な生成AIチャットに「〇〇市でおすすめの△△会社は」「(自社名)の評判は」と聞き、自社がどう紹介されるか・そもそも出てくるかを確認する
  • 「一次情報の棚卸し」(優先度2):自社サイトに「自社にしか書けない情報」(実例・数字・工程・失敗談)が何本あるか数える。ゼロなら、まず1本書く
  • 「基本整備」(優先度3):FAQページ、運営者・著者情報、サービスの料金目安など、AIが引用しやすい基本情報を整える

サイトを「飾り」ではなく「働く戦力」にする考え方は「数ヶ月・○百万円でHP作り」は時代遅れ!売れる仕組みは「3日で完成」でも解説しています。

AI検索・LLMO対応でよくある質問(FAQ)

Q1. AI検索の時代になったら、SEOはもうやらなくていいのですか?

いいえ、逆です。Googleは2026年5月の公式ガイドで、AI機能への表示も通常の検索ランキングの仕組みに基づくと明言しています。日本の調査でも、生成AIの回答を見た後に32.8%の人が検索エンジンで追加検索しており(Hakuhodo DY ONE「AI検索白書2026」)、SEOの基本は引き続き土台だと言えます。

Q2. LLMOとは何ですか?

LLMO(大規模言語モデル最適化)とは、生成AIが答えを作る際に自社の情報を引用・参照してもらいやすくする取り組みの総称です。特別な裏技ではなく、一次情報の発信、分かりやすい見出し構造、FAQや運営者情報の整備といった、読者本位のサイト作りと中身は重なります。中小企業が特別な投資をしなくても始められます。

Q3. 中小企業は何から始めればいいですか?

生成AIチャットに自社名や「地域名+業種」で質問し、どう紹介されるかを確認することからです。費用はかからず、30分程度で課題が具体化します。次の一手は、自社にしか書けない一次情報を1本発信することです。

7. 自社の「AIでの見え方」、一度確かめてみませんか

「確かめ方は分かったが、その先の設計を相談したい」——そう感じた方は、無料相談をご利用ください。AI検索での見え方の確認から一次情報コンテンツの設計まで、現状に合わせて一緒に優先順位をつけていきます。以下の4項目を、分かる範囲で結構ですのでお知らせください。

  • 会社名・業種
  • サイトURL
  • いま気になっていること(例:問い合わせが減った、AI対応が不安)
  • ご希望の連絡方法

この記事を書いた人

青木一剛(あおき・いっこう)。外資系IT企業で広告プロダクトのマーケティングを担当し、アカウントストラテジスト時代を含め300社超のマーケティングを支援。Marumake代表として中小企業のAI導入とマーケティングを伴走支援するほか、デジタル庁デジタル推進委員、総務省地域情報化アドバイザーを務める。自社では業務AIの仕組みを50種類運用中。

免責事項

本記事の見解は個人の見解であり、所属・顧問先機関を代表するものではありません。各調査の数値は発表時点のものであり、調査主体・対象国・期間が異なるデータを含みます。最新の状況は出典元の公式情報をご確認ください。

参考文献

#出典・数値発表元年月
1「AIによる概要」(AI Overviews)を日本を含む6か国へ拡大Google Japan Blog「AIによる概要:ウェブにつながる新しい方法」2024.08
2「AIモード」の日本語提供開始Google Japan Blog「Google 検索における『AI モード』を日本語で提供開始」2025.09
3個人の生成AI利用経験26.7%(前年9.1%)、生成AI活用方針あり企業は大企業約56%・中小企業約34%(2024年度調査)総務省「令和7年版 情報通信白書」2025.07
4米国成人900人の検索行動記録。AI要約表示時のリンククリック8%(非表示時15%)、要約内リンククリック1%(2025年3月調査)Pew Research Center "Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results"2025.07
5AI Overviews表示キーワードで検索1位のCTRが58%低下(2025年12月データ)Ahrefs "AI Overviews Reduce Clicks by 58%"2026.02更新
6Google検索の利用回数が2024年に21.64%増(米国Datosパネル)SparkToro・Datos "Google Search Grew 20%+ in 2024"2025.03
7生成AI経由の米国小売サイト向けトラフィックが2025年7月に前年比4,700%増Adobe "Generative AI-Powered Shopping Rises with Traffic to U.S. Retail Sites"2025.08
82026年3月の米国小売サイトで、AI経由訪問のコンバージョン率が非AI経由比42%高、滞在時間48%長Adobe "AI traffic grows but retail sites lag in AI search visibility"2026.04
9生成AI検索向け最適化の公式ガイド。SEOの基本が有効、llms.txt等の特別ファイル不要と明記Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」2026.05
10ゼロクリックサーチ経験者23.9%、生成AI回答後の追加検索32.8%(白書本体は2026年3月2日公開)Hakuhodo DY ONE「拡大するAI検索利用(AI検索白書2026より抜粋)」2026.05

Interested in working together?

Contact Us